はじめに
緊急事態宣言が発令され、ヨガおよびフィットネス業界は甚大なダメージを受けました。
休業要請によりクローズしているスタジオさんやスポーツクラブさんがほとんどだと思います。(2020年5月)
しかし、5月下旬(執筆時)においては、事態が収束に向かうにつれ、緊急事態宣言が段階的に解除されるようになると思われます。
このような中で、ヨガインストラクターさんやスタジオオーナーの皆さんは、再開に向けて気をもんでいると思います。
緊急事態宣言が解除された府県では、だんだんと再オープンし始めているようです。
しかし、緊急事態宣言前と全く同じようなやり方とはいきませんので、いろいろ対策を練って営業を再開しているのをスタジオのウェブサイトやSNSで見ることができるようになりました。
例えば、次のような対策が多いようですね。
「人数を減らして、レッスンを再開します。」
「定員の半分にしました」
「消毒・換気を頻繁に行い、アルコール消毒を徹底しております」
しかし、
いったいどのくらい定員を減らせばいいのか?
換気の頻度のタイミングは?
など、これらは目安や基準がなければ、不安や戸惑いを感じるのではないでしょうか。
※フィットネス業界ではFIAさんがガイドラインを提示しております。(フィットネス関連施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン)2020年 5月25日版
もう少し具体的に何か「基準」となる事例はないかしら?と探していると、北九州の建築士さんが面白い「資料」を発表しています。
タムタムデザイン「コロナ時代に建築士が考えたこと」
それは、北九州市にある株式会社タムタムデザイン一級建築士事務所の田村晟一朗さんが、とてもわかりやすい「資料」を作ってくれていました。
田村さんのフェイスブックの文章を引用いたします。
「Withコロナ時代に建築士が考えたことVol,1」
【三密の見える化】自粛要請の中でも頑張っている事業者と利用者の皆さまへ建築設計やったり飲食店やったりと色々な事業で活動していると今の状況について”自分に何ができるか?”を考えてみました。お時間あるときに見て頂ければ嬉しいです。緊急事態宣言下、自粛要請の中、それでも活動している皆様に少しでも安心がもたらされますように。
そこで、田村さんが先日発表された資料をもとに、ヨガスタジオに数値等を当てはめて考えてみました。
この資料は、YouTubeでも公開されています。
解説付きでとてもわかりやすいので、まずはご覧ください。
【三密の見える化】Withコロナ時代に建築士が考えることVol,1小倉経済新聞 小倉の建築士「三密の見える化」動画公開「安心につなげたい」
これを元に要点を抜き出し、さらにヨガスタジオの事例をあてはめてみました。
密閉の見える化
CO2と含有量
「密閉」はどのように「見える化」できるでしょうか。
空気中のCO2(二酸化炭素)濃度を代替指標とすることで、「密閉」を数値化できます。
『二酸化炭素は、人の呼吸によっても濃度が増え、待機中に0.03%程度含まれています。室内空気の汚染具合を測るバロメーターとされています。許容値は1000ppm以下とされます。』 参考資料これだけ!空調設備
CO2の含有率 1000ppm以下を見える化する。
CO2濃度測定器
そこで、CO2の濃度を検測する機器ですが、田村さんの資料では次の二つをあげています。
値段はお手頃ですが、表示が小さく、お客様にアピールできないという問題点があります。
筆者は、買ってみましたが、表記が英語と中国語なので、パチモン感を感じます。
モニター型 液晶表示がわかりやすく、インストラクターさんはもとよりお客様が確認できることで、安心感を得られる。
CO2濃度測定器の導入店舗
- RIVERWALKこどもの家(福岡県北九州市)
密集の見える化
平常時の密集の定義(店舗/会議室など)1.7㎡/人以下
密接の安全基準
ソーシャル・ディスタンスは、両手がぶつからない人と人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空けるとされています。(新しい生活様式の実践例:厚生労働省)
この半径1mが2つ接すると、人と人との距離は2m取ることができます。
さらに(フィットネス関連施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン)2020年 5月25日版では、
② フィットネス関連施設を再開するにあたっては、新型コロナウイルスの感染を防ぐため、主 な感染径路である接触感染と飛沫感染それぞれについて、従業員や施設利用者等の動線や接触等を考慮したリスク評価を行い、総合的にそのリスクに応じた対策を検討して実施することが求められる。
■密な状態のリスクチェックポイント(人の密度の管理)
・施設の各エリアにおいて利用人数制限を行い、施設全体においてどのエリアに於いても2m四方の距離を確保するように施設・設備への対応、利用にあたって のルール規定し徹底する。人数制限管理を確実にするため、使用可能とするロッカーを間引く等の具体的な措置を取る。
面積は3.14㎡となります。これを密接の安全基準と考えます。(2m基準)
密接の安全基準 3.14㎡
密集の安全基準
空間というものはおおよそ四角形なので、
面積は4㎡となります。
これを密集の安全基準と考えます。
密集の安全基準 4㎡
密集許容人数
まずは田村さんの資料を元に、密集の許容人数が計算式は、
空間面積(㎡)÷ 4(㎡/人)=密集許容人数
これをヨガスタジオにあてはめます。
インストラクターさんが前に立ち、指導しているという一般的なレイアウトで考えてみました。
更衣室や受付、事務室等を除いたスタジオの総面積からインストラクターさんの占有面積を除いた面積を「実面積」としました。
インストラクターさんの占有面積は、スタジオの短辺の長さに1mをかけるものとします。そして、実面積を4㎡/人で割れば密室許容人数が計算できます。
密集率の計算方法
密集率を計算することによって、お客様に密集の具合を数値化してお知らせすることができます。
例えば、スタジオの総面積が48㎡の場合、実面積は42㎡(短辺6㎡)です。次の計算式で密集率を計算します。
参加者が9人の場合は密集率が85%ですので、安全にレッスンができます。
そして、参加者が12人の場合は密集率が114%なので、人と人との間に障害物を設置して「蜜」を回避するか、または人数を調整する必要があるといえます。
密集許容人数と密集率の表示の方法
また、ウェブサイトやSNS、または予約サイトなどに、密集率を表示してお客様に安全性をアピールするなどの方法があります。
まとめ
以下の数値を「見える化」します。
密閉の安全基準 CO2の含有率 1000ppm以下
密接の安全基準 3.14㎡
密集の安全基準 4㎡
空間面積(㎡)÷ 4(㎡/人)=密集許容人数
こうして「見える化」することで、インストラクターさんや生徒さんに安心をもたらすことができるのではないでしょうか。
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https://tacosta.jp/ozone_fumigation/
2021年4月5日 大阪府知事も二酸化炭素測定器の設置を飲食店に求めていることをニュースで知りました。